武術の護身
「護身術」と聞くと、多くの人は“いざという時の技”を思い浮かべるでしょう。
殴り方、逃げ方、危険から抜け出す方法。
でも、武術のいう護身術は少し違います。
それは危険が起きた後の対処ではなく、そもそも巻き込まれにくい自分になること。
狙われやすいのは「弱い人」ではなく、どこか揺れている人なのです。
肩が落ち、視線が定まらず、足取りが不安定な人。
風に揺れる小舟のように、波に飲まれやすい。
武術はまず、派手な技を教えません。
まっすぐ立つこと。重心を感じること。呼吸を整えること。
自分の中心を保つこと。
続けていくと、人は静かに変わる。
崩れにくくなり、慌てにくくなり、自分を見失いにくくなる。
「落ち着いたね」と言われるようになる。
本当に危険なのは力の差ではなく、「どうしよう」と固まること。
武術は迷いの時間を削り、自分の判断を信じられる身体を育てる。
武術のいう自信とは、胸を張ることではありません。
「私は自分の体を信じている」という静かな感覚です。
武術のいう護身術とは、危険から身を守る技ではなく、
自分の中心を整えること。
そしてその先にあるのは、
自分の人生を、自分の足で歩くことなのです。
詠春拳とエブマス
「伝統武術は現代では通用しない」とよく言われます。
しかし、本当にそうでしょうか。
エブマス(EBMAS=エミン・ボーズテペ・マーシャルアーツ・システム)の詠春拳は、伝統を否定するのではなく、進化させることでこの問いに答えています。
EBMASとは何か
エブマスが伝統詠春拳と異なる最大の点は、想定する「敵」と「環境」です。
創始者エミン・ボーズテペ大師父は、多くの実戦経験から、
「伝統詠春拳をそのまま使うだけでは、現代の路上には十分ではない」
と考え、エブマスを発展させました。
伝統詠春拳との違い
① 現代の脅威への対応
エブマスは、ボクシングのパンチ、ムエタイの蹴り、レスリングのタックルなど、異種格闘技の攻撃を最初から想定します。
② 寝技・組み技への対応
路上にはルールがありません。倒されたり、組まれたりする状況も想定し、詠春拳の理論に基づいて対応を学びます。
③ 合理的な学習システム
秘伝主義を排し、再現性のある指導と段階的なカリキュラムで、現代人でも効率的に学べる設計になっています。
なぜエブマスは「詠春拳」なのか
エブマスは他流派の寄せ集めではありません。
寝技や組み技であっても、「中心線」「構造」「力学」といった詠春拳の原理に基づいています。
また、伝統の三大基本型(小念頭・尋橋・標指)を修練し、その後に木人椿へ進むという流れも変えていません。
型を捨てたのではなく、現代的に読み解いたのです。
結論
エブマスは、伝統を捨てずに進化させた詠春拳です。
型(OS)という土台は変えず、対人練習(アプリ)を現代の脅威に合わせて更新している——それがエブマスの本質です。
定義
エブマスとは、「エミン・ボーズテペが習得した詠春拳を、現代実戦環境に適応させた進化形」です。
